スピリチュアルケアをご存知ですか?

こんにちは。

 新型コロナウィルスの影響で自粛ムードが強い中、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

さて、今回は私が所属する「スピリチュアルケア学会」の話をしたいと思います。

スピリチュアルケアという言葉を聞いて、皆様はどのようなことを想像されるでしょうか?

一般的にメディアなどで紹介されている「スピリチュアル」とう言葉は「霊が見える」とか「神秘的なオーラが見える」とか  「神がかりな何か」とかそんなことを連想させられるのではないでしょうか。そんなこと「眉唾だなあ」と感じているのは、

私だけでしょうか?

私が所属するこの学会は、聖路加国際病院で長年患者さんの心のケアにご尽力されてきた、故日野原重明名誉院長が立ち上げた

学会です。学会の内容については、折々、会の活動に参考になりそうな内容をご紹介していきたいと思います。

実はこの「スピリチュアル」という言葉は、WHOが健康の定義の中で提唱している言葉でもあります。

1998年に提案され、1999年に人々の健康の定義の中に、Spiritual health (霊的な健康)として提唱されました。

では、スピルチュアルケアとはどのようなものなのでしょうか。

 

 Spiritualとは、 「精神的な」「霊的な」「宗教的な」 など

 Careとは、 「気を配る」「心をかける」「配慮する」 などと直訳します。

私達スピリチュアルケアを学問として研究するものは、人間そのものがスピリチュアルな存在であると考えています。

唯一無二な存在としての人間、この世に生まれてきたこと自体がスピリチュアルなことであると思いませんか?

そのような人間を全人的に捉えてケアすること、つまり、身体的な病や傷をケアするだけではなく、人間の本質的な心のケア、

或いは心の奥にある精神世界にまで触れながら、その人をケアすることを、スピリチュアルケアと呼ぶのです。

人は生きていく中で様々な悲しみや苦しみを経験します。ある人は離婚など人との別離を経験し悲しみや苦しみを体験するでしょう。ある人は、

大切なものを失うことで悲しみを体験する。またある人は、愛する人との死別を経験することで、深い悲しみや苦しみを体験するでしょう。

このような悲しみを「悲嘆」と言いますが、この悲嘆には、その人が感じる悲嘆の強さによって、時に心に痛みを感じることがあります。

痛みとは、決して身体に傷を負うことで感じるものだけではありません。悲しみが深ければ深い程、心に痛みとして感じることがあるのです。

この心の痛みを、私達は「スピリチュアルペイン」と呼びます。

スピリチュアルケアとは、単に悲嘆ケアを行うだけではなく、スピリチュアルペインも含め、人間を全人的に捉えてケアしていくことを

意味するのです。

いかがだったでしょうか?

少し難しい話だったかもしれませんが、ご興味のある方は是非、故日野原重明先生の本を読んでみてはいかがでしょうか。

次回は、スピリチュアルペインについて話をしていきたいと思います。

 

                                      つくば国際大学医療保健学部看護学科   塙恵子