悲しみを翼に

寒さが厳しくなる季節ですがいかがお過ごしでしょうか。

もう1年が過ぎようとしていますが、あっという間の1年間でした。人は歳を取る程、時間の感覚が短くなるそうですが1年は本当に短いと感じるこの頃です。あれだけ暑い夏だったのにもうこんなに寒いなんて!

私もそれだけ歳を取っているということなのでしょうね。

さて、私は中島みゆきさんの歌が好きで良く聞きますが、「銀の龍に乗って」という歌があります。

その歌詞の中に、「急げ悲しみ翼に変われ、急げ傷跡、羅針盤になれ」という言葉があります。

大切な方を亡くされた方は、悲しみの中にいます。心が傷つき、この痛みは消えないものだと感じる方もいるでしょう。

時間は何も解決しないと天使ママ達は話します。しかし、果たしてそうでしょうか。

時間の流れは少しづつ悲しみを和らげていると思うのです。残念ながら人は昔の記憶を少しずつ失くしていきます。そして楽しかった思い出だけを残してくれるのです。それは人間の心がそうする防御反応です。しかし神様が私達に与えてくださったギフトなのだとも思うのです。完全に悲しみを無くすことはできませんが、その悲しみが翼に変わり、新しい何かのために飛び立つ時を待っている。ある人は同じ病気の子ども達のために、ある人は同じ悲しみにある人のために、そしてある人は全ての子ども達のために悲しみを翼に変えて飛び立っていくのだと思うのです。

心に残る傷跡は、その方向性を示す羅針盤の様な働きをしてくれるのかも知れません。

決して我が子の死は無駄ではない、天国で子どもが指し示してくれる羅針盤なのかもしれません。

今はまだそう思えなくても、いつか時の流れがそう教えてくれるようなそんな気がするのです。

悲しみを知らなかった時は、そんなことを考えたこともないけど、悲しみを知って広い世の中を知る。同じような子ども達や、同じように苦しんでいる人達がいる。その人達のために自分にできることを考える、命の大切さを知る、それだけでも

素晴らしいことだと思うのです。それは全て天国に旅立った子ども達が教えてくれていることなのだと思うのです。

                              つくば国際大学 塙恵子